こんにちは、北原 千です。

今回は、わたしがメインで使っている透明水彩絵の具の

W&Nプロフェッショナルウォーターカラー


シュミンケホラダム
(シュミンケは会社名で、ホラダムがブランド名です)

の発色や使用感などを比較してご紹介します。

それぞれのブランドについて

W&Nもシュミンケホラダムも、画材として有名なブランドです。

W&N

W&Nは96色中、75色が単一の顔料から作られており、発色、耐久性共に優れています。

透明水彩以外にも、油彩、オイルバー、マーカー、インクなどの画材を作っています。

シュミンケホラダム

一方シュミンケホラダムは、110色の中で65色が単一顔料から作られています。

なお、2017年に35色があらたに新色として加わりました。

また、オックスゴールを絵の具に適量配合することにより、絵の具のはじきを抑えて、紙へのなじみを良くしています。

こちらも水彩ブランドのホラダム以外に、油彩のムッシーニ、ソフトパステル、顔料などを取り扱っています。

 

W&Nはイギリス、シュミンケはドイツの画材メーカーで、世界中のアーティストが使っています。

発色の違い

一番重要なポイントである、発色について比べてみましょう。

 

手元にあるW&Nとシュミンケホラダムで、色を比較してみます。

まずは、W&N、

続いて、ホラダムです。

それぞれ顔料の番号は左からPG50、PB28、PB15です。

なお、バーントシェンナだけはW&NはPR101、ホラダムはPR101とPBk9と、含まれている顔料が少し違います。

色名が違うものもありますが、どちらのブランドも同様の顔料から作られた色です。

 

いかがでしょうか。

 

W&Nとホラダムで少し色味が違いますが、鮮やかさではどちらが優れているとは言えません。

どちらのブランドも、とても質のいい顔料を使っている証拠です。

質感の違い

どちらも素晴らしい発色のW&Nとシュミンケホラダムですが、絵の具を塗った時の質感には違いがあります。

 

W&Nはざらっとした、粒子感が強いのに対して、シュミンケホラダムはよりさらっと、しっとりした感じがします。

 

先ほどの比較画像をご覧ください。

W&Nは絵の具の濃いところがはっきり出ているのに対して、ホラダムは比較的均一に広がっています。

 

W&Nは色のメリハリが出やすいのに対して、ホラダムは平坦な伸び方をすると言えます。

 

ホラダムの方が均一になっているのは、絵の具にオックスゴールという物を界面活性剤として混ぜているからだと思われます。

オックスゴールを混ぜると、伸びやなじみが良くなるようです。

 

どちらの質感の方が優れている、ということは一概には言えません。

どちらが合うかは、アーティストによって違ってきますからね。

 

ただ、どちらのブランドも、良質な顔料を使ってこだわりを持って製造されています。

ですから、鮮やかさと個性があるのだと思います。

 

固形絵の具の溶けやすさについて

W&Nとシュミンケホラダムの一番の違いは、固形絵の具の溶けやすさです。

 

透明水彩はチューブ入りの絵の具の他に、ハーフパンと呼ばれる固形絵の具があります。

これは、油絵の具やアクリル絵の具と大きく違う点です。

 


こちらの画像の左上がチューブ絵の具。

そして右側に置かれている二つがハーフパンと呼ばれる固形絵の具です。

ちなみに手前の青い方がホラダム、右奥がW&Nのハーフパンです。

 

固形絵の具はその名の通り、絵の具が固く乾かされた状態になっています。

そのため、絵を描くときには水で濡らした筆で表面を撫で、溶け出した絵の具を使います。

わたしは、手間がかからないところが気に入って、固形を使っています。

チューブと違い、わざわざパレットに出さなくていいですからね。

 

 

その固形を使うときに大事なのことがあります。

 

それは、

「どれだけ素早く絵の具が溶けてくれるか」

です。

 

せっかく手間を惜しんで固形絵の具を使っていても、絵の具を溶かすのに余計に時間がかかってしまっては、なかなか続きが描けませんからね。

 

W&Nとホラダムの溶けやすさを比較してみると、ホラダムはW&Nより溶けやすいです。

 

W&Nは全ての色が溶けにくいわけではありません。

しかし、だいたいどの色も絵の具を撫で続けないと溶けてくれない印象です。

もちろん、色によって溶けやすさは違います。

カドミウムレッドなど、よく溶けてくれる色と、プルシャンブルーなどのほとんど溶けない色が混在しています。

特にプルシャンブルーは全く溶けず、結局のところ一度も絵の具として使えたことはありません。

もちろん、わたしの買ったハーフパンが、たまたま特に溶けにくいものだったのだとは思います。

 

「溶けにくいものもある」というのはとても重要です。

 

それに対して、シュミンケホラダムの固形絵の具はとても良く溶けます

 

W&Nの中で溶けやすいカドミウムレッドが「すっと」溶けてくれるのに対し、ホラダムはどの色でも「ぬるっと」溶けます。

W&Nは筆でこそぎ取る感じなのに対して、ホラダムは筆にくっついてきます。

 

初めて使った時に、とてもおどろきました。

 

とにかく溶けやすさの次元が違うのです。

 

製造方法の違い

シュミンケホラダムの固形絵の具が溶けやすい理由はなんでしょうか。

その秘密は製造方法にあります。

 

W&Nや他のブランドのハーフパンは、小さなキャラメルのような形の絵の具が、プラスチックのケースにころっと入れられています。

ケースにくっついている絵の具を水で溶かしてやれば、絵の具を外すことも簡単なのです。

この画像の左側がホラダムのハーフパン、そして右側がケースから取り出したW&Nのハーフパンです。

 

一目見てわかるように形が違います。

 

W&Nのハーフパンがケースに入れられているだけですが、ホラダムはプラスチックのケースにみっちりくっついていて外せません。

実はホラダムでは、ハーフパンを作るとき、絵の具を4回に分けてプラスチックケースに入れては乾かしを繰り返しているのです。

それを数ヶ月かけて、やっと一つの固形絵の具を作ります。

 

これによって固形絵の具の顔料やアラビアガムの比率が一定になっているのか、とにかく溶けやすいのです。

これが、ホラダムの固形絵の具が溶けやすい一番の秘密です。

 

ちなみに、わたしはホラダムのチューブをパレットに固めて、自作の固形絵の具としても使っています。

驚いたことに、ホラダムのハーフパンほどではないにしろ、自作の固形絵の具はW&Nのハーフパンより溶けやすいのです。

 

ホラダムの絵の具が溶けやすい理由は、ハーフパンの製造方法以外にもあるのかもしれませんね。

 

水彩は、「水が乾くまでの時間が勝負」という場面がとても多い画材です。

絵の具を塗り始めたら、水が乾くのが早いか、アーティストが手を動かすのが速いか、いつだって時間との勝負になります。

ですから、使いたい絵の具がすぐに溶けてくれるのは大変助かるのです。

 

価格について

ここまでシュミンケホラダムとW&Nを比較してきましたが、それぞれの価格はどうなっているのでしょうか。

 

同じ透明水彩絵の具ですが、W&Nとホラダムの値段は大きく違います

 

絵の具は使っている顔料によって値段が変わってきますから、同じ顔料を使っている絵の具で両ブランドを比較していきましょう。

 

画材屋さんでハーフパンの価格を確認してみると……。

  • カドミウムイエロー(ホラダムはライト)
    W&N:627円
    シュミンケホラダム:1,491円
  • コバルトブルー(ホラダムはライト)
    W&N:627円
    シュミンケホラダム:1,761円

二倍以上違いますね……。

W&Nの方が圧倒的に安いです。

 

おそらく製造過程や流通経路などに理由があるのでしょう。

 

初めて透明水彩を始めよう! と思われている方であれば、ホラダムを購入するのは躊躇されると思います。

わたしも初めて絵の具を揃えたときは、ほとんどの色をW&Nから選びました。

今でもW&Nの絵の具は使っています。色の美しさに違いはないですからね。

ただ、溶けやすさの点から、少しずつホラダムに移行しつつあります。

 

 

それでは、ここで一つ質問です。

 

透明水彩の利点はなんでしょうか。

 

色の美しさ、すぐに使える手軽さ、コントロールできない滲みとの格闘……など様々です。

その中でも、コストパフォーマンスの良さ、というのは外せないメリットです。

 

そう。

透明水彩の絵の具はとても長持ちするのです。

 

小さな小さなハーフパンですら、油絵の具の21mlチューブを使い切るよりも、ずっと長持ちします。

ですから、多少ホラダムの絵の具が高くても、それほどデメリットにはなりません。

 

おわりに

今回は、W&Nとシュミンケホラダムを比較してご紹介しました。

 

わたしは溶けやすさがとても重要なので、ホラダムを好んで使っています。

 

ただし、チューブを使われる方や、溶けやすさをそれほど気にされない方であれば、W&Nは重宝します。

W&Nの発色は素晴らしいですし、価格はホラダムの半分以下です。

選ばない手はありません。

 

ホラダムやW&N以外にも、透明水彩を製造しているメーカーはいくつもあります。

  • ホルベイン(国内)
  • クサカベ(国内)
  • マイメリ ブルー(イタリア)
  • ラウニー(イギリス)
  • レンブラント(オランダ)

などなど、他にも多くのブランドがあります。

 

ぜひ、ご自身に合った絵の具を探してみてください。

 

きっと、

「これがいいな」

と思えるものがあるはずです。

 

複数のブランドの絵の具でパレットを彩るのも楽しいですよ。

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