「油絵を描いてみたいけど、本格的に勉強したことがないからわからない…」
「専門的に教えてもらわないと難しいのかな?」
日本では義務教育で油絵の具を使うことがないので、誰かに教えてもらわないとやり方がわからないですよね。
でも油絵の具だって、画材の一つ。
水彩絵の具とは特徴が違いますが、ポイントさえわかれば美しい絵が描けます。
今回は油絵具を準備するところから、実際に塗っていくコツまでを流れでお伝えします。
もくじ
油絵具を用意する
まずは油絵具を使うために、道具を準備します。
どんな道具を揃えたらいいかについては、これだけあれば描けるー油絵具ーを参考にしてください。
キャンバス
モチーフが見えやすく、描きやすい位置に配置します。
右利きの方は、キャンバスは右側、モチーフは左側に置き、
左利きの方は、モチーフを右側、キャンバスは右側に置くと描きやすいですよ。
油彩を使う時は、イーゼルなどを使ってキャンバスを立てて使います。水彩の時のように寝かせてもいいですが、立てた方が描きやすいのです。
とは言っても、「初めからイーゼルを買うのは…」と思っちゃいますよね。
その場合は、手頃な箱などを置いて、キャンバスを立てかけて使いましょう。
パレット
パレットには、基本の色を出してから使い始めましょう。
基本の色は、白・黄色・赤・青・緑・茶色・紫・黒などの一通りの色です。
例え、赤と黄色だけを使って描くつもりでも、他の色を少し入れた方がリアリティが出ることが多いです。
最低10色くらいはパレットに出しておくことをおすすめします。
絵の具の量は、親指の第一関節くらいの量を出しておきましょう。
描いているときに絵の具が足りなくなると困りますし、たっぷり使った方が雰囲気が出ます。
パレットに色を並べる順番は好みです。
私は「白、黄色、オレンジ、赤、茶、紫、青、緑、ピンク」という順番で並べることが多いです。
油壺
油壺には、ペインティングオイルを入れて使います。
ペインティングオイル=水彩における水、です。
水彩では絵の具を水で薄めて使いますが、油彩では少量混ぜる程度です。あまりバシャバシャに薄めて使うことがありません。
そのため、油壺には少量のペインティングオイルを入れておき、なくなったら継ぎ足して使います。
ちなみに、ペインティングオイルというのは、色々な種類のオイルが使いやすいように調合された溶き油です。
とても便利なので、絵を描く時に使う油は、ペインティングオイルだけでOKです。
筆
筆は、豚毛の6号(大きさ)あたりが便利です。
細かく描きたい場合は、1号や0号を用意しておきましょう。
F4やF6のキャンバスであれば、6号と1号または0号の筆が一本ずつあれば足りると思います。
水彩の筆に比べると、とても硬いですが、気にせずガシガシ描くのが楽しいですよ。
布
キャンバスの絵具を拭うときに使います。
「色を間違えちゃったな」だったり、「色を置きすぎちゃったな」というときに、いらない布切れで拭き取ると、すぐに描き直すことができます。
いらない布を小さめに切って用意しておくと便利ですよ。
紙
いらない紙は、筆についた絵の具を拭き取るのに使います。
筆の色を変えるときは、毎回筆をきれいに拭って、洗います。
新聞紙や雑誌でいいので、絵を描く時は使いやすいように広げておいておきましょう。
筆洗(描くときに洗うよう)
筆洗は、水彩でいうところの水入れです。
絵を描いているときに筆の色を変える時は、
- 新聞紙で拭く
- 筆洗で洗う
- オイルを新聞紙で拭く
- 新しい絵の具を筆にとる
という順番になります。
この筆洗の中には、テレピンやペトロールと呼ばれるオイルだけを入れておきます。(どちらかを入れます。混ぜません)
筆を洗うためには、ブラシクリーナーという液体が売られていますが、絵を描いているときには使わないようにしてください。
ブラシクリーナーには絵の具を溶かす成分が含まれているため、絵を描き終わって片付けるときにだけ使います。
とはいえ、筆洗を用意するのは少し面倒なので、ペインティングオイルで筆をきれいにする方法もあります。
- 新聞紙で拭く
- ペインティングオイルを筆に含ませて布で拭き取る
筆がきれいになるまで、2を繰り返してください。
少し手間ですが、結構きれいになりますよ。
油絵具の使い方・塗り方
油絵具を使うときは、はじめに筆に少量のペインティングオイルをつけます。
次に、暗めの絵の具(茶色系など)を薄めに溶かして、大まかにアタリを描いていきます。
少し暗めの色から塗る
アタリが描けたら、暗めの色から塗っていきます。
リンゴを描くなら、影に近い赤色の部分・影の部分を塗ってから、白く反射した明るい部分を塗ります。
水彩は、白っぽい部分→色のはっきりした部分→影の黒い部分、という順番で塗ることが多いですが。
油彩は、黒っぽい部分→色のはっきりした部分→明るい白い部分、という順番で塗ります。
そうすると、立体感が出ます。
黒は使わないようにする
暗い部分を塗るときに、黒色を使わないようにしましょう。
黒色はとても強い色で、黒色を触った筆で他の色を塗ると、他の色が暗く濁ってしまいます。
とても扱いが難しい色なのです。
影を塗る時は、モチーフをよくよく見てください。
黒い影かと思っても、実際には赤色だったり青色だったり紫色だったりします。
経験的には、本当に絵の具の黒色が必要だと感じたのは、目の瞳や髪の毛を塗るときだけでした。
黒っぽい色が欲しいとき
そんな時は、
- ウルトラマリンブリー
- ディオキサジンヴァイオレット
- フタログリーン
を混ぜて見てください。とても暗い色ができますよ。
それに加えて、
- アリザリンクリムソン
- バーントアンバー
を入れたりして、色を調整したりもできます。
時々離れて見てみる
大まかに色が濡れたら、少しずつ細部の描き込みに移ります。
そのとき、時々立ち上げって、離れた場所から絵をチェックしてみてください。
「なんだかバランスがおかしいなかな?」
と思ったら、修正しましょう。
大きく修正したいときや、塗りすぎてしまったときは、布で拭き取ってまた描き直せます。
乾かす
描いている最中でも、キャンバス上が塗れた絵の具ばかりで、それ以上描き進められなくなったら、いったん乾かします。
だいたい、手で触っても絵の具が付かなくなるまで乾かしましょう。
その時期の気温にもよりますが、夏だと早ければ一日、冬場だと早くても三、四日かかります。
油絵の具は化学反応で乾く(固化する)ので、気温が大事だったりします。
絵を乾かすことに決めたら、今座っている(もしくは立っている)ところからモチーフの写真を撮っておきましょう。
花や果物など、すぐ枯れたりするモチーフの場合は、次からは今撮った写真を見ながら描いていきます。
枯れたりしないモチーフでも、配置を確認するために写真を撮るのがオススメですよ。
ポイント
油絵を描くときのポイントは3つあります。
完璧を求めない
完璧を求めるといつまでたっても終わりません。
そもそも、絵具の色は限られていて、モチーフをそっくりそのまま描き写せるわけではありません。
再現度よりも「自分が望むものが描けているか」を重視する方が、面白い作品になりますよ。
一部分にこだわりすぎない
こだわることは大切です。
しかし、こだわりすぎるために他の部分との調和が崩れてしまっては、また修正するはめになってしまします。
そうして何度も修正していると、「いつになったら完成するんだろう…」と思えてきて、モチベーションが下がってしまいます。
初めは誰だって上手く描けません。
少しぐらい不満でも、割り切って描きあげてしまいましょう。
何枚も数を重ねた方が、上達が早いのです。
バランスを大切に
全ての部分に力を入れて描くより、メインのモチーフだったり、人の目が集まりやすいところに力を入れて、他の部分は描き込みすぎない方がバランスよく見えます。
全体を均等に描くより、メリハリをつける、という感じですね。
その方が、描きあがるまでの時間が早くすみます。
あなたが、「このバランスがいいな」と思ったら完成です。
おわりに
今回は、油絵の具の使い方や、描き方の流れをご紹介しました。
描き方については、一つの記事では描ききれないので、ポイントだけに絞っています。
油絵具は、水の代わりに油を使っていること、乾くのが遅いことに慣れれば普通の絵具と変わりません。
むしろ、乾くのが遅いので拭ってやり直したり、乾いても上から簡単に修正できるので、使いやすい画材だと言えます。