色見本とは

colorchart

透明水彩には様々な色の絵の具があります。

白、黄、赤、ピンク、紫、青、緑……。

同系色の中でも微妙な違いで、数多くの色が
発売されています。

 

違うのは色だけではありません。

粒子の大きさにも違いがあり、
粒子の小さい絵の具は染み付くように
広がるのに対して、粒子の大きな絵の具は
紙に置いた時も沈むような感じがあります。

さらに、
色によっては水で溶いた時の色と、
チューブから出した時の色が違う絵の具も
あります。

基本的に不透明系の色はチューブから出した
色と、水を加えた時の色がさほど変わりません。

それに対して、
透明系の色はチューブから出した時の色が
とても濃く見えます。

 

このように、
パレットに置いている状態の色と
塗った時の色が違うと、絵を描く時に不便です。

そのため、
あらかじめ絵の具を実際に紙に塗った
色見本を作るのです。

色見本の利点

色見本を作る利点は3つあります。

  1. 実際の色がわかる
  2. 粒子の大きさがわかる
  3. 色の広がり方がわかる

それらを見ていきましょう。

実際の色がわかる

透明度の高い色ほど、
チューブから出した時の色が濃くなります。

さらに、
同系色の透明度の高い色がパレットに
並んでいると、どれも黒っぽく見えてしまい、
いざ使う時に迷ってしまいます。

例えば、
フタロシニアン系の色はとても鮮やかですが、
水で溶く前は非常に濃く黒っぽく見えます。

パレットに、
フタロブルー、フタログリーン、
ディオキサジンパープル、ウルトラマリンブルー、
ウルトラマリンバイオレットを並べていると、
どれも黒っぽい色に見えて、
水を加えるまで実際の色がわかりません。

フタロブルーを取りたかったのに、
間違えてウルトラマリンブルーを取ってしまう、
ということも起こります。

 

パレットの並び順に配置した
色見本を手元に置くと、実際の色を見ながら
絵の具を選べるので余計な手間が減ります。

 

粒子の大きさがわかる

透明水彩の絵の具は、
色によって粒子の大きさがまちまちです。

コバルトブルーなどは粒子が大きく、
紙に乗せる感じですが、
フタロブルーなどは粒子が小さく
紙に染み付くように色が付きます。

粒子の大きな色を置いた後に、
小さい色を置くと、絵の具が思わぬ
広がり方をしてしまう事があります。

 

色の広がり方がわかる

紙に描くときは、
粒が大きい絵の具ほど広がりにくく
その場に沈むのに対し、
粒子の小さい絵の具はサッと全体に広がります

特にwet in wetの技法
(ぬらした紙に絵の具を加えるやり方)
では両者の違いが顕著です。

粒子の大きな絵の具は大して広がりませんが、
小さい絵の具は濡らした水のきわまで
色が到達して、色の縁取りを作ります。

それが困る場合は、
置く色の量を制限する必要があります。

 

色見本であらかじめその色の特徴を
把握しておくと、色を塗る時に
注意するポイントがわかります。

 

色見本を作ってみる

それでは実際に色見本を作ってみましょう。

色見本は自分のために作るものですから、
整理されたものがいい場合は、
あらかじめどの色をどこに置くかを
決めて置くことをおすすめします。

また、
人によっては色見本用の紙の色を置く場所を
枠取りして、綺麗な見本を作られる方もおられます。

わたしは色の広がりを分かりやすくするため、
枠取りはせずに色を置いています。

 

道具

用意するものは、

  • 水彩紙
  • 絵の具
  • 雑巾

です。

水彩で描く時に使う道具一式です。

なお、水彩紙は普段使っているものを
用意してください。

透明水彩の発色は水彩紙によって
決まると言っても過言ではありません。
同じ絵の具で塗っても、
紙によって色合いが変わってくるのです。

本番で使う紙を使って色見本を作ることにより、
その紙に置いた時の本当の色を知ることができます。

 

色見本を作る手順

まず、水で溶いた絵の具を筆につけて水彩紙に塗ります。

次に、
先ほどの絵の具が乾かないうちに、
今度は綺麗な水を筆に含ませて、
色を塗った隣に置きます。

この時、
色を塗った箇所と接するように置き、
透明な水が色を塗ったところに流れ込むようにします。

 

今回は、
フタロブルーとウルトラマリンバイオレットの
色見本を作りました。

上の明るい青色がフタロブルー、
下の青紫がウルトラマリンバイオレットです。

 

フタロブルーはとてもよく広がるのに対して、
ウルトラマリンバイオレットは粒子が大きく、
あまり広がらない色です。

それを比較しようと思ったのですが、
今回は違いが分かりにくくなってしまいましたね。

うまくいくと、
広がる色は全体が濃くなって、
広がらない色は一部しか濃くならない、
ということが起こります。

 

色と水を置いたら、
紙を動かさないように放置して、
乾くのを待ちます。

乾いたら色見本の完成です!

 

気をつけた方がよいこと

色見本を作る際は、
出来るだけご自身のパレットと
同じ色の並びで作るようにしてみてください。

その方が、
パッとみてどの色の見本なのか
分かるので便利です。

 

また、
色見本の余白に色名やブランド名、
カラーインデックス名(PB15)などを
書いておくと、色を買い足す際の参考になります。

チューブ絵具の場合はあまり関係ありませんが、
固形絵具は包み紙に色名などが書かれています。
固形絵具の包み紙って、
封を開けると捨ててしまいがちです。

そのため、
同じ色を買い足そうとした時に、
色名がわからないことが多いのです。

ブランドによっては、固形絵具の入っている
小さなプラスチックケースに製品番号が
書いてあることも多いですが、
結構分かりにくいです。

色見本を使わない描き方

実は、全く色見本を使わずに描くこともできます。

以下のような場合は、色見本をあまり使いません。

  1. 色数を少なくする
  2. 現実のものを見て描く
  3. 描きながら調整する

 

色数を少なくする

使用する色数を減らせば、
個々の色の発色を覚えられるので見本がいりません。

色見本にらめっこするのは、
「同系色の中でどの色にするか…」
と悩んでいる時が多いです。

例えばパレットに青色が一色しかなければ、
青色で悩む必要はなくなるわけです。

基本色12色ほどで描けば、色見本は不要です。

現実のものを見て描く

現実にあるものを見て描く場合、
色見本を参照しないことが多いです。

色見本は、どの色にするか考える際に使用します。

空想で描く場合は
「ここは何色が合うだろう」
と色見本を見ながら考えますが、
目の前にモチーフがあればその色を描けばいいのです。

 

描き方にもよりますが、
静物や風景など実際にあるものを描く場合は、
濁った色をよく使います。

その方が現実感が出ます。

そのため、
濁らないように、と色見本で色を選別する必要が
あまりありません。

 

描きながら調整する

空想で描く場合でも、
色の濁りや思わぬミスマッチを制作過程で
調整する場合があります。

この場合も色見本はあまり見ないかもしれません。

そのまま、味にしてしまうやり方ですね。

 

おわりに

作品の配色を決める際、
また実際に色を置いていく過程において、
色見本を作っておくととても便利です。

制作スタイルによっては
必要ないこともありますが、
個々の絵の具の特徴を把握できる
というメリットもあります。

透明水彩を使われるのであれば、
一度作るとずっと重宝するアイテムになりますよ。