アクリル絵具は、万能型の画材です。
色々な表現が可能で、水彩のように使うことも、油絵のような表現もできます。
できないこと(制限)が少ないのが最大の特徴です。
もくじ
アクリル絵具の特徴
アクリル絵具とは、色の粉『顔料』と『アクリル樹脂』を混ぜた絵具の事を言います。
アクリル絵具は、チューブから出した状態、つまり濡れている状態であれば、水で溶いて使えます。
その一方で、一度乾いてしまうと耐水性になり、水には溶けません。
どれだけ水をつけてこすっても、全く落ちなくなるのです。
また、アクリル樹脂は伸縮性が高く、柔らかい布になどに描いてもはがれにくいです。
固着力も強いので、大抵のものに描くことができます。
紙、布、木、壁、陶器、プラスチック、ガラスなど、
他の画材では描けない物にも使う事ができます!
なお、アクリル絵具の仲間には、アクリルガッシュという絵具もあります。
アクリルガッシュは全ての色が不透明で、ツヤ消し効果の高い絵具です。
一方で、普通のアクリル絵具にはツヤがあります。
アクリルガッシュと違い、透明色や不透明色が混在しています。
この記事では、普通のアクリル絵具について紹介していきますね。
アクリル絵具のメリット
アクリル絵具はメリットの多い画材です。
- 乾くと耐水性になる
- 乾くのが早い
- 透明度が高い
- 発色が鮮やか
- 油彩のようにも水彩のようにも使える
- 何にでも描ける
以下で詳しく見ていきましょう。
乾くと耐水性になる
アクリル絵具最大の利点は、濡れているときは水で溶けて、乾くと完全な耐水性なるところです。
乾いた部分は水には溶けません。
色を何度重ねても溶けてこないのです。
そのため、何度でも綺麗に重ね塗りすることができます。
これを応用して、違う色を何層も重ねて複雑な色合いを表現できるのです。
また、失敗した部分があっても、簡単に修正することができます。
これがとても便利なのです。
乾くのが速い
乾くのが速いのもアクリル絵具の特徴です。
他の画材と比べると、驚くほどすぐに乾きます。
キャンバスに描くと少しゆっくりになりますが、紙の上に描くと乾く速さは圧倒的です。
また、絵具は外側から乾いていくので、半乾きの状態で描き進めることもできます。
透明度が高い
油彩に比べ、アクリル絵具は圧倒的に透明度が高いです。
同じ顔料を使っている色で比較しても、アクリルの方が下の色が透けて見えます。
そのため、混色する時も2つの方法が使えます。
- パレット上で混色する方法
- 重ね塗りで混色する方法
2の方法は、
先に混ぜたい色のどちらかを塗っておき、もう一方の色を薄く重ね塗りする
というやり方です。
下地の色を生かして描いたいときには、とても便利です。
発色が鮮やか
アクリル絵具はとても色が鮮やかです。
アクリル絵具は顔料とアクリル樹脂を混ぜた画材です。
チューブから出したとき、アクリル樹脂は少し白っぽい色をしています。
それが乾くと、無色透明になるのです。
つまり、乾くことでアクリル樹脂の色が消え、顔料の色がそのまま見えるのです。
ピンクやライトブルー、黄緑などの中間色の発色が特に綺麗です。
油彩のようにも水彩のようにも使える
アクリル絵具は、水彩っぽくも、油彩っぽくも使えます。
水で薄めれば、水彩のような透明感のある表現ができます。
あまり水を加えずに、チューブから出したままの状態で使えば、油絵具のように立体感のある作品を描くこともできます。
幅広く使える画材なのですね。
何にでも描ける
何にでも描けるというのも、アクリルの大きなメリットです。
油絵ならキャンバス、水彩なら紙というように、多くの画材は何に描くのがいいかが決まっています。
一方、アクリル絵具は何にでも描けてしまいます。
キャンバスにも、紙にも、布にも、壁や石にだって描けちゃいます。
これは、アクリル樹脂に弾力があって、伸び縮みも得意なためです。
直感のまま使える絵の具、それがアクリル絵具なのです。
アクリル絵具のデメリット
アクリルにはデメリットはほとんどありません。
油絵のようにひび割れができたり、水彩のように水に溶け出したり、ということがないのです。
ただ、メリットになっている特性が、やりたい表現よってはデメリットになることがあります。
- 濡れている時間が短い
- 隠蔽力が低い
- 完璧に油彩や水彩を真似できるわけではない
詳しくみていきましょう。
濡れている時間が短い
アクリルを使う上で一番気をつけたいのは、すぐに乾いてしまうこところです。
すぐ乾くのは、どんどん描き進めたいときには便利です。
一方で、筆についた絵具や、パレット上の色が乾くのも速いのです。
気づいたら筆がカチコチになっていた。パレットに絵具がこびり付いていた。ということがよくあります。
少しの間でも、筆を置くときは必ず洗うようにてください。
パレットはプラスチックの物でなく、使い捨ての紙パレットがオススメです。
また、乾くのが速いとグラデーションを作るときに困りものです。
きれいなグラデーションを作ろうと思ったら、
- 絵具が乾く前に素早く筆を動かす
- 薄塗りを繰り返す
- スプレーにして吹き付ける
のどれかの方法をとることになります。
隠蔽力が低い
透明度の高さがデメリットになるときもあります。
絵具の透明度が高いと下の色が透けやすいのです。
ある程度絵を描いたあとで、一部を修正しようと別の色を塗っても、元の色が透けて見えてしまいます。
透けないようにするには、一度だけでなく、なんども重ね塗りをして修正する必要があります。
これが結構面倒だったりします。
完璧に油彩や水彩を真似できるわけではない
これはデメリットとまでは言えませんが、期待しすぎるとがっかりしてしまうポイントですね。
アクリル絵具で、水彩や油彩を完全に真似ることはできません。
薄めたり、濃く塗ったり、いろいろなメディウムを混ぜることで、他の画材のように使うことはできます。
ですが、アクリル絵具は、やっぱりアクリル絵具なのです。
いくら薄めても、透明水彩のようなキラキラとした透明感は出ません。
厚く塗っても油絵のような重厚感を表現することは非常に難しいです。
アクリル絵具を生かした表現をするか、どうしても譲れない場合は、別の画材を使った方がいいかもしれません。
おわりに
以上が、アクリル絵具のメリットとデメリットです。
メリットの方が多いので、アクリルをメインの画材として使う人は多いです。
いろいろな表現も出来るので、迷ったときはアクリルを使ってみるのがおすすめですよ。
ぜひ楽しんで絵を描いてみてくださいね。