油絵の具、アクリル絵の具、水彩絵の具はどれも同じ色の粉を使っています。
だけれど、実際に使ってみるとそれぞれ全然違う性質を持っている。
いったい何が違うのか。
色の粉を練っている『接着剤』が違うのです。
油絵の具、アクリル絵の具、水彩絵の具はどれも顔料と呼ばれる色の粉が使われています。
例えば、コバルトブルーと書かれたチューブが売っている場合、油でもアクリルでも水彩で
も、そのチューブに使われているのはPB28という顔料です。
絵の具の種類が違っても色名が同じなら、同じ色を得ることができます。
次に挙げるのはそれぞれの絵の具を使った作品です。
◉油絵の具
◉アクリル絵の具
◉水彩絵の具(透明水彩)
使い方にもよりますが、それぞれの絵の具の特徴は、
◉油絵の具
現実感や存在感、迫力が出る
◉アクリル絵の具
鮮やかな色になる、細かい描き込みがしやすい
◉水彩絵の具(透明水彩)
透明感が出る、繊細な画面になる
です。
では同じ色の粉を使っているのに、どうして出来上がる絵の雰囲気が変わってくるのか。
それは顔料を練っている媒体が大きな影響力を持っているからです。
絵を描くとき、顔料だけでは紙やキャンバスに色を付けられません。
粉を引っ付ける「のり」の成分が必要です。
チューブ絵の具には、顔料と「のり」成分が混ぜられた絵の具が入っています。
ちなみに、チューブ絵の具が発明される以前、画家は絵を描くたびに、そのとき使う分だけ顔料と「のり」成分を自分で混ぜて絵の具を作っていました。
「のり」成分は絵の具の種類によって変わってきます。
油絵の具は「油」
アクリル絵の具は「アクリル樹脂」
水彩絵の具は「アラビアガム(アラビアゴム)」
接着剤が変わることによって、絵の具はそれぞれの特色を持ちます。
◉油絵の具
他の絵の具よりべたべたする
水と混ぜられない(一部製品を除く)
なかなか乾かない
乾くと落ちない
黄色っぽくなりやすい
◉アクリル絵の具
すぐ乾く
乾いたときに色が濃くなる(製品にもよる)
水で薄められる
乾くと耐水性になる
いろんなものに描ける
◉水彩絵の具
水で薄める
乾いても水で溶かせる
ねばつきが一番弱い
水彩絵の具は使ったことのある人が多いので、イメージしやすいと思います。
アクリルは乾燥が速くて、耐水性になり便利なので、知らずに使ったことがある人もいるのでは。
油絵の具は、油で薄めないといけなかったり、臭いが独特で、さらに片付けに少し手間がかかるので
「やろう!」
と思わないと、なかなか手にする機会がありません。
ただどれも、
「この画材でないと出せない雰囲気」
というものがあります。
ですから、絵を描くときは色んな画材に挑戦するのも楽しいです。